<5> 人生選択
  このコラムにはレース予想の類は一切出てこない。でも、もしあなたが馬にロマンを感じ、ギャンブルに生きている方なら、案外共感してくれるかもしれない。

 そもそも、人の一生など最初から最後までギャンブルの連続とも言える。私もその例に違わず数年前、人生の岐路を経験した。当時大学院で専攻していた物理学と、馬頭琴や喉歌(のどうた)の演奏活動、どちらを取るか悩んでいたのだ。両立できるほど器用じゃないので、1年休学して音楽漬けの日々を過ごしてみた。幸運にもその年、ライブ等を通じて様々な音楽的出逢いに恵まれたのだが、将来どちらで暮らしを立てるかといった問題に関しては、答えが得られなかった。それはそうだ。実は科学も芸術も「職業」としては非常にヤ○ザな世界だからなぁ。

(c)ぽん田中 そうなると、残された判断基準は自分がどれだけのめり込めるかになる。で、結局は大学と税務署で手続きを済ませ〜退学届と個人事業主届〜音楽に「賭ける」ことにした。所属が無くなるというのは何とも不安なものだが、妙にさっぱりした気分にもなる。また、背水の陣を敷いて初めて見えるものがあることも分かった。

 現在、私はおかげさまで音楽活動を続けており、大変なこともあるけど、この暮らしをとても気に入っている。馬頭琴や喉歌は、日本では音楽的フロンティアであり、混沌の中に活気と刺激が溢れている。それに、マイナーな分、アンテナの鋭い人たちとの出会いも多くコミュニケーションも楽しい。ただ、もう少し多くの人にこの音楽を楽しんでほしいとは思う。今後この賭けが丁と出るか半と出るかは分からないが、結局は気の持ちようかな。

 さて、午年の今年こそは、新たに競馬ファンの方にもぜひライブに来てほしいものだ。ゲンを担いで馬頭琴の有名曲「万馬の轟」などライブで聞いてみては?良いことあるかもヨ。

嵯峨治彦のおうまさんといっしょ
<5>人生選択
 2002/02/08

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