<12> 馬頭琴を抱いた渡り鳥
  ここ数年、春は本州ツアーだ。数十人規模の小さな会場でのライブが多い。馬頭琴の微妙な音色を間近で味わうには最適だし、ゲル(モンゴルの移動式住居)で開かれる宴のようなリラックスした雰囲気になるのも楽しい。また時期的にも、もう一つメリットがある。雪の多い北海道から春たけなわの本州への脱出、これである。馬頭琴を抱いた渡り鳥とも言えよう。

 一昨年の3月、ある長期の企画が突然キャンセルになってスケジュールにまとまった空白ができてしまった。そこで、その時期にライブを企画して頂けないか、交流のある音楽ファンの方々にメールを送った。急な話だし(約1ヶ月後に迫っていた)馬頭琴も喉歌もまだまだマイナーな音楽だから正直あまり期待していなかったのだが、ありがたいことに各地でライブを企画して下さる方が現れて、結局2週間で17ヶ所公演というスケジュールが組まれた(1日2回というのもあった!)。これが春のツアーの始まりだった。

(c)ぽん田中 各地でライブを企画して下さるのは、やはり大の音楽好きの方たちである。メディアに取り上げられない音楽であっても、鋭いアンテナでキャッチしては、手作りのライブで楽しむ。そういう方が、都会であれ小さな町であれ、全国には結構いるのだ。彼らには自分の感性に正直に生きようという共通点があるように思える。

 一昨年のツアーでは、なぜかもう一つ共通点があった。企画して下さった方のほとんどがオメデタだったのだ。中には、泊めて頂いた翌朝、奥さんが産気づいてしまったケースもあった。馬頭琴を抱いたコウノトリとも言えよう。

 春のツアーも今年で3年目を迎えた。今回は関東・関西圏を中心に9ヶ所でライブ予定だ。…本州の友達に教えてやって下さい。

 ※ライブ情報はのどうたの会のホームページをどうぞ。 http://tarbagan.net/nodo/

嵯峨治彦のおうまさんといっしょ
<12>馬頭琴を抱いた渡り鳥
2002/03/29

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