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2000年7/15(土)、16(日)

南(内)モンゴル・エヴェンキ族
民間芸術団
北海道公演


エヴェンキ族の由来

エヴェンキ族の「エヴェンキ」は、[evengki] と発音され、中国では「鄂温克(エウンキ)」という漢字を当てている。エヴェンキ族は、満州・ツングース系の「無文字」民族である。昔からシベリア、大興安嶺の原始森林に分布し、狩猟生活を送っていた。17世紀、ロシア帝国のシベリア侵入により、シベリアに生活していたエヴェンキ族はロシア領内に入り、大興安嶺に生活していたエヴェンキ族は大清帝国の領内に分割された。1732年頃、清朝廷のロシア国境防衛政策により、大興安嶺に生活していたエヴェンキ族の一部は、現在の中国・内蒙古自治区フルンバイル地域に派遣・駐屯させられた。後に彼らの大多数の人々は、狩猟生活をやめ、遊牧文化へ移行し、遊牧を営むようになった。

エヴェンキ族自治旗の設立

フルンバイル地域に派遣されたエヴェンキ族は、中華人民共和国の建国後、1958年に「鄂温克族自治旗」を成立した。鄂温克族自治旗は、フルンバイル盟の南の方に位置する。総面積は19,111平方キロメートル(だいたい四国1つ分ですね/さが)であり、そのうち草原が11,944平方キロメートル(62%)、森林が6462平方キロメートル(34%)を占め、あとは湿地や河川である。エヴェンキ草原に生える牧草は有名で、日本ほかいくつかの国に輸出している。家畜は「五畜」といわれる、羊、牛、山羊、馬、駱駝を放牧している。今年の家畜の総頭数は48万頭に達し、遊牧民の肉、羊毛、カシミヤ、牛乳、革の生産が増えると予想されている。

エヴェンキ族の伝統文化

エヴェンキ族自治旗には現在約4000人のエヴェンキ族が遊牧・狩猟の生活をしている。(中国領内のエヴェンキ人の総人口は約24,000人) また、主体民族=エヴェンキ族以外には、モンゴル、ダゴール、オロチョン、満州、回回、朝鮮、漢人などの民族が雑居している。とはいえ、各民族は各自の地域に生活し、各自の文化を平等に保護・維持している。文化的な相互融合は、それほど強くは行われていない。とりわけ、森林地帯に生活するエヴェンキ人は、自分たちの伝統文化を忘れてはいない。一言でいえば、遊牧文化を狩猟文化に融合させる形で理解したと言えよう。従って、彼らの遊牧文化にはモンゴルの遊牧文化と異なる多くの伝統が維持されている。例えば、家畜の放牧の方法、乳製品・毛皮の加工、狩猟を行う回数などのあらゆる面でモンゴルの遊牧文化とは異なる。特に、宗教生活においてシャマニズムを振興していることは、エヴェンキ族唯一の民族的な特徴である。今回のエヴェンキ民間芸術団のコンサートをご覧になれば容易におわかり頂けるように、エヴェンキ族の世界観では、自然愛、人間愛を重視することが重要である。そして、熊送りを行う儀式が日本のアイヌ民族と酷似する。言語学者によると、エヴェンキ語とアイヌ語には多くの類似点が見つけられるという。

エヴェンキ民間芸術団

この芸術団は、エヴェンキ族自治旗の旗立団体であり、中国全土でもエヴェンキの文化を紹介する唯一の団体である。五十数人のアーティストを有し、旗所在地に専用の施設を持つ。冬季は主に稽古を行い、春夏秋には草原地帯を回り、遊牧民を対象に様々なコンサートを披露する。
団員の多くは、遊牧民から選出されており、自治区や全国規模のコンテストで表彰されたものもいる。彼らのパフォーマンスは高いレベルに達し、自分たちの文化を紹介する点では誰にも引けを取らない。今回の日本公演に際し、この芸術団は、エヴェンキの伝統文化を反映するプログラムを組み立て、日本の皆さんに自らの文化を十分に理解して頂くことを目指した。例えば、全中国で最優秀賞を受賞した作品「虹(女性団体舞踊)」を演じるために、四名の優秀な舞踊家が来日メンバーに加わっている。特にプログラムの内容は、エヴェンキの自然愛、人間愛で溢れており、大自然の中で心強く、誇り高く生きるエヴェンキ族の世界観を大いに反映するだろう。

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