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「ハイセイコーの調べ」

2000年6月3日 北海道新聞夕刊より
(一部加筆・訂正 嵯峨治彦)

空駆けて ハイセイコーの調べ

尾の毛、馬頭琴に

新冠で製作計画進む

【新冠】

 五月四日に死亡した名馬ハイセイコーが残したしっぽの毛を使ってモンゴルの伝統楽器・馬頭琴を作る計画が、同馬のふるさとの日高管内新冠町で進んでいる。楽器づくりを手がける関係者は「馬頭琴の音色を通じて、在りし日の活躍ぶりをしのびたい」と話している。

 この計画を考えたのは同町教委職員の堤秀文さん(四一)ら町内外の音楽愛好者。馬頭琴は三味線に似た形の二弦の弦楽器で弓を使って演奏し、棹(さお)の先は馬の頭の形をしている。 弦は馬のしっぽの毛を束ねて作る。

愛馬の死を悲しんだ羊飼いがその遺骨や皮、毛を使って作った−との民話が由来とされ、多くのファンに愛されたハイセイコーへの慰霊の思いを込めて作る。

 所有団体だったシンジケート「ハイセイコー会」も主旨に賛同し、しっぽの毛の一部を提供してくれることになり、弦と弓に使うことにした。

 地元の基幹産業である軽種馬生産と同町が進める「レ・コードと音楽による町づくり」をつなぐ試みでもあり、同町の友好都市選定で有力候補にモンゴルのナライハ市が挙がっていることから、馬頭琴を通じた交流にも期待する。

 楽器作りは近くスタート。同管内静内町の手づくり工房「木と遊ぼう会」代表の吉野健さん(五二)が製作を受け持ち、棹先にはハイセイコーの顔をつける。札幌市の馬頭琴演奏家、嵯峨治彦さん(二九)が、同馬のしっぽの毛を使って弦を作る。今秋には完成の見込みだ。

 馬頭琴は嵯峨さんの手でハイセイコーの「一周忌」に当たる来年五月四日に、音色が披露される予定。嵯峨さんは同馬にちなんだ新曲を作ることも考えている。

 その保管場所の候補には同町レ・コード館が挙がっており、音楽ファンにはおなじみの同館が競馬ファンからも注目されそうだ。堤さんたちは「今後もいろいろな名馬の毛を使った馬頭琴をそろえたい」と夢を膨らませている。

 

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