Up

●2000年 6/3(土)11:35〜11:45放送
 HBCラジオ「サタデーアイ北海道」

 このラジオ番組の収録で、僕はちょっとがっかりした。今回お世話になった番組制作の2人のスタッフの方(インタビュアー兼アナウンサーの方と、ディレクター兼録音の方)には、「喉歌」について、ほんの少しで良いから調べておいてほしかったのだ。

 喉歌の演奏者をスタジオに招いてインタビューをする方が、「喉歌」が何なのか、どういう特徴を持つ歌唱法なのか、そもそも歌唱法なのかどうかさえよく知らないというのは、インタビューされる側にとってかなりやりづらいものがる。もちろん、喉歌はまだまだマイナーな音楽文化だし、ライブなどでは初めてその音色を耳にする人も多い。だが、そういった人達との質疑応答は楽しいし、喉歌の素晴らしさを広めていく上でも非常に重要なことだと思っている。それでも番組の収録となると話は別だ。たまたま喉歌が「一人の喉から同時に複数の音を発してメロディを奏でる」という平和的な歌唱法だったから良かったようなものの、これがもし「一人の喉から同時に放送できない胸中を語リ続ける胸のホーミー」とか「煮えくり返った腹のホーミー」とかいうものだったら、番組収録は大変なことになっていただろう。

 また、収録の合間にインタビュアーの方が僕のプロフィールをパラパラと眺めながら「大学院に行ってたのにねぇ。(ニヤリ)」と言い捨てた時は、席を立とうかとさえ思った。もちろん「大学院をやめてまで・・・」と感じる人がいるのも分かるし、親しい友人の中には親身になっていろんなアドバイスをしてくれる人もいる。しかし、以前僕が何を専攻していたかとか、音楽にどれだけ僕が魅力を感じているかとか、その辺りのことを全く知らない初対面の人が、インタビューの相手の前でこういう態度をとったことには愕然とさせられた。多少建設的な意見を追加させてもらえば、どうしても「大学院にいってたのに、なぜ」が気になるなら、その辺りを掘り下げてくれれば面白いインタビューにもなったかもしれない。あまり好きな話題じゃないけど。

 もうひとつ(この日はストレスが重なる日だったのさ)。ディレクターの方が「嵯峨さんは喉歌が上達した」と言って下さったのだ。ライブに足を運んでくれている のどうたファンの皆さんやミュージシャン仲間の友人に言われたら非常に嬉しいこの一言も、2、3回しか会っていない、しかもその都度「デモンストレーション」的な演奏の一部しか聞いていない人に言われてしまっては、ぐーの音もうぃ〜の音も出ない。この辺になると、もう「喉歌」とか「音楽」とかは関係無い。

 と、いろいろあったのだけれど、今回はぐっとこらえた。というのも、番組でライブ情報を紹介させてもらったのだ。しかもそのライブは、有珠山噴火災害義援のチャリティ・コンサートで、チケット収益はすべて寄付させてもらうことになっている。ラジオを聞いたり、このページを見てくれた方が、チャリティに協力してくれたら嬉しい。僕の我慢のしがいもあるってもんだ!【ライブ情報は「今後の予定」をご覧下さい。】

 この番組が正味9分間の番組だったのは不幸中の幸いだった。短い時間でかつ一般の聴取者を対象としているため、内容はごく大雑把なFAQ的なものにならざるをえない。このため、インタビュアーの方に喉歌の知識がなくても、放送としては成立しているだろう。また、インタビューの作業も大して時間がかからず、堪忍袋の緒が切れる前に収録は終了してしまった。ということで、いつもとは一味違った放送、ぜひきいてね。

 

 このページ、インターネット時代の心の闇みたいで、自分で作ってて怖かったぞぉ。こんなページ作らせるようなことすなー(怒)!

(後日談)放送は良かったですよ。きちんとまとまっていました。スタッフの方ご苦労様でした。ちょっと言い過ぎたかも、なんて思ったりして。


のどうたの会 嵯峨治彦 e-mail: thro@sings.jp