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How to fly

with your beloved horse

〜大切な馬頭琴の空輸法について〜

 

 楽器の運搬は何かと大変ですね。特に飛行機に乗るときはなかなか面倒です。

 なかでも馬頭琴は頭を悩ませます。この楽器、そもそも大きさがちょっと中途半端で、機内持ち込みをあきらめて貨物室に預けてしまうほど大きくはないし、かといって持ち込むにはちょっと気が引ける。。。それに棹の上端にある馬頭の彫刻と、左右に張り出した糸巻きのせいで、けっこう複雑に場所を取るので、持ち込んだとしても座席の上のトランクも、座席の下も、座席の横だって・・・どうにもフィットしません。

 ちなみに、ハードケースで荷物として預けてしまうのはやめたほうが良いでしょう。箱の中のクッションをうんと詰め込んで箱の中で動かないようにしっかり固定すれば、大丈夫かも知れませんが…。旅のあいだずっと重たいハードケースを持ち歩くのは結構大変です。そういうストレートな解決策で満足できるなら、ここを読む必要はないんです。

 

 さてさて、、、

 

■■■ 国内線 ■■■

 国内線なら、ほぼ確実に機内に持ち込めます。空港でこのようにやってみて下さい。

<自己責任でどうぞ。>

(1)楽器用にもう1席確保する。

 もちろんこれが基本!・・・あ、別に、もう1席分余計にチケットを「買う」というのではありませんよ。(買ってもいいけど。)

 まずは、チェックインのとき、ソフトケースに入った愛馬を見せて「この楽器を持ち込みたいんだけど、空席があれば2席並んだ座席を確保したい」とお願いしてみましょう。

 もし空いていれば、隣の席を無料で確保してもらえます。これが一番良い方法。

 それでは、もしも「あいにく満席」だったらどうするか。

(2)手荷物で持ち込む。

 とにかく。これです。もう、これしかないんです。

 搭乗ゲートの手荷物検査では「楽器です」と言って検査官に渡しましょう。おそらく持ち主より慎重に扱ってくれます。(コワレモノのタグをカウンターでもらっておいて、あらかじめ楽器ケースに付けておくとより効果的)

 そんで、機内に入ったら、スチュワーデスさんに見られないように楽器を持ちます。背中に真っ直ぐ背負うのは意外に効果的です。真正面から見たらわかんないですから。もしも手に持つ場合はなるべく低い位置に。

 赤ん坊を抱きかかえるような持ち方は、あまりにも不審ですから、やめた方がよいです。

 (なんか、書きながら、ドキドキしてきました。)

 そして、非常に重要なコツをひとつ。新聞を一部キープするんです。

 座席に着いたらスグに、窓側なら窓辺にそっと、通路側なら足の間に馬頭琴を置いて、速やかに新聞をバーッと広げて読み始めます。多少狭くても、せいぜい離陸までの辛抱ですから。

 

(3)運悪くスチュワーデスさんに見つかったら

 こうなるケースはほとんどないと思いますが、たまに「それ楽器ですよね、そこに置いては困ります」なんて言ってくる職務に忠実な方がいます。そんな時でも、こわれやすい楽器であることを強調しつつ事情を説明すれば、たいていはどこか空いてるスペースに保管してもらえます。

 もちろん、本当はちょっとの間でも他人の手に任せるのは不安です。でも、もしもご機嫌ナナメのスチュワーデスさんと議論にでもなったら、双方にストレスになるばかりか、いざというとき愛馬がぞんざいに扱われかねません。結局は「どこか場所を見つけて保管」させる以外ないんですから、なるべく印象を良くして愛馬を優しく扱ってもらえるようにした方が得策です。

人間だもの、スチュワーデスだって。

 つまり、ここに書いた方法は、実は(3)の時点で「負け」なんです。世の中には身をゆだねるしかない不条理もあるのだと、そう悟った時、きっとあなたの演奏はより一層の哀調を帯び、聴く人の心を揺り動かすのでした。。。

 

 

 

■■■ 国際線 ■■■

 馬頭琴に理解のあるモンゴル方面のフライトなら、国内線同様の手段で楽に機内に持ち込めますが・・・一般に、テロへの警戒で空港は神経質になっています。

 そこで、今回は、こういう方法を考えてみました。もちろんソフトケースが前提です。

<自己責任でどうぞ。>

 結論から言うと、これです。・・・分解。

(右上のトプショールは関係なし)

 実は、以前ニューヨーク在住の方に馬頭琴を1台郵送したことがあります。そのとき同様の方法をとったんですが、無傷で空輸することに成功しました。how nice!

 ま、ちょっと手間はかかりますが、馬頭琴を、箱、棹、糸巻きほかの小物、に分解し、パーツごとにしっかり梱包すれば、それぞれは決してこわれやすい物ではないってことです。

 (注:楽器によっては、共鳴箱の中の魂柱が倒れやすいものもあります。弦を完全にゆるめた状態で魂柱が倒れそうだったら、・・・分解するかどうか考えてしまいますね。でも、突き放した言い方かもしれませんが、そういう馬頭琴は旅の共には向いていないと思います。そんなに繊細なバランスでしか成立しない馬頭琴は、たとえハードケースに入れたとしても、貨物室に運ばれる間に魂柱が倒れてしまうかも知れません。リスクは常につきまとうものですから、国外演奏用の頑丈なヤツを1台入手するのも手です。魂柱は後で立てられるけど、破損した楽器は特別な修理が要る、ということを考えた上で、どうするか決めるしかありません。)

 

●共鳴箱 

 ソフトケースの馬頭〜棹を包む部分を裏返しにします。(チャックの開いた状態で裏返すと楽)

 そして、共鳴箱を包む部分に、裏返したケース自身と共鳴箱を両方入れてチャックを閉めます。

 そして、これを普通のリュックサックにまるごと入れて背負えば、完璧です。だれもが機内に持ち込むごくフツーのリュックサックです。何も後ろめたいことありません。

 

●残りの部品(棹、糸巻き、弦、上下の駒)

 私は段ボール箱を利用して写真のような専用ケースを作りました。

 小箱の方に、糸巻き、弦、駒がはいって、大箱は小箱もろとも馬頭部分をすっぽり収納します。馬頭の耳は特に壊れやすいのでウレタンを布でくるんだ特性クッション(空のっぽと雲ひげ社)でくるんでいます。防災頭巾状態。

 弓もカタイ筒(専用ケースがあればその方が良いだろうけど)に入れます。段ボール万歳。

 で、これらを紐で縛って、何か布の袋でくるんでやればOK。

 こっちのほうはまとめても絶対的な長さがある分、ちょっと不審に…いえ不安になるかもしれませんが。。。大丈夫!確かに長さはありますが、分解したことで厚みは5センチもないような、とても薄い荷物になったワケですから、機内に持ち込んでも座席上のトランクに簡単に入れることができますし、トランクの中で仮に少し動いたり、他の乗客の荷物とぶつかったりしてもこわれやすい部分はありません。。

 ならべて見るとこの通り。左側は背中のリュックでひっそりと。右の布の袋は…ライフル銃には見えないでしょう。模様もキュートだし。

 で、結論からいうと、関空-フランクフルトの国際線、および、ノルウェーの国内線で、まったく問題なく馬頭琴を機内に持ち込む事ができたのでした。ぱちぱちぱち。

 

 

■■■ The Best Way ■■■

 実は、ちょっとした発想の転換ですが、もっと素晴らしい方法があります。楽器をばらす必要もなく、料金も1席分のまま、もちろんソフトケースでの機内持ち込みです。フランクフルト-オスロ間で一度だけ試しましたが、バッチリでした!

 多少のリスクもあるので具体的には書けませんが・・・次の写真をヒントにしてみて下さい。

 

<自己責任でどうぞ。>

 

 

 

 

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