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Aisan Wings Tour in NORWAY

Tromso -1-

1/25(ノルウェー滞在3日目) 前日までの長旅の疲れはもうない。やはり旨い朝食とたっぷりの睡眠ですね。

一行は、ホテルでダンスの極秘特訓をしたあと、トロムソの小さなカルチャースクールへ。

 こらんのとおり、ちいさな建物だが、中に入ると外観からは考えられないような広いスペースに各種レッスン室、ホール、ラウンジ、カフェなどが充実していた。

 この、一見小さな外観と、内部の予想外の大きさというのは、ノルウェーの家全般に言えることらしいが、滞在してみて、トロムソという街そのものにも(そして後述するボルダにも)、当てはまるような気がした。つまり、人口で見ると小さな街であっても、文化的にはとても大きな存在感を持っているのだ。

 トロムソは、ノルウェー北部の中心都市。北緯約70度、という北極圏内に位置する小さな街で、「北のパリ」と呼ばれることもあるらしい。

 ちなみに僕は98年に等々力さんとトゥバ入りする前に、「東のパリ」ことイルクーツクに滞在したことがある。

 こうなると、ぜひブエノスアイレスとモントリオールにも行って東南西北そろえ「四喜和」を狙いたくなるところだが、わざわざまた外国に行かずとも、札幌市内で「中央区のパリ〜シャンソニエ・アン」、「白石区のパリ〜製パンメーカー札幌パリ(株)」、「発寒あたりのパリ〜たぶん何かある」も合わせれば、「字一色」は固い。

 さて、トロムソの人口は6万人とそんなに大きな街ではない。でも世界最北の大学 Tromso University もあって、非常に国際色が豊かだし、かつて北極熊、トナカイ、アザラシ猟で街が栄え始めた19世紀に、実際のパリから最新の流行が盛んに輸入されたそうで、あちこちに「文化の香」が漂っている。ノルウェー国内では、首都のオスロが南の中心地であるのに対して、北部の中心地という位置づけだ。

 考えてみれば、北に位置する人口6万の地方都市のイベントで、外国のミュージシャンを招聘したり、そのオープニングでかなりアバンギャルドなインプロビゼーションの野外コンサート(後述)を企画するってのは、信じがたいことだ。しかも大雪にもかかわらず市民がたくさん集まっていたし。これがヨーロッパってやつなのね、と素直に感動してしまいますた。もっとも、文化の方向や、音楽のとらえ方は国によって違うから、一概に日本の地方都市とは比較出来ないけど、まがりなりにも音楽に関わっている人間の一人としては、ちょっと羨ましさを感じた。それから、日本の地方都市の潜在的な可能性みたいなのも感じた。

 トロムソは、現在オーロラ観光で日本人もたくさん訪れているそうだ。「トロムソ」でネットを調べると、あちこちに旅行者向けの詳しい情報や、街の写真なども出ているのでチェックしてみよう。

 

 さて、いよいよリハーサルが始まる。やっと楽器を手に本来の目的〜そうそう、音楽の旅だったのだね〜に立ち返る静かな興奮。

 日本チームは、左から、居森やよ美(歌、カオスパッド)、佐伯雅啓(三線、トンコリ、歌)、嵯峨治彦(馬頭琴・喉歌)、田中りこ(タブラ)、田中峰彦(シタール)、そして、今回の中心メンバーおおたか静流(歌)。

 居森さんと佐伯さんは、広島から。ウパシクマというグループでアルバムを出していて、僕も「のんびり」というアルバムに参加させてもらっていた。また、広島の老舗ライブハウス「OTIS!」で何度もお世話になってる。今回の旅に僕を誘って下さったのが佐伯さん。大感謝。

 田中ご夫妻は関西から。音の上ではアルバム「のんびり」で既に共演していたが、実際にお会いするのは今回が初めて。音楽とは関係ないが…このご夫婦なぜあんなに食べることができるんだろう。アシスタントとして同行したぽん田中もあわせて、今回の田中トリオの食べ方は強烈な印象を残した。

 そして、おおたかさん。Asian Wings の中心メンバー。お名前はもちろん存じていたけど、お会いするのも、間近で歌を聴くのも今回が初めて。アジアの名曲「花」は色んな人が歌っているが、最も印象的だったのはずっと前にテレビのCMで流れていたおおたかさんの歌だ。スタジオの仕事もたくさんされていて、ほかにも今まで何度か衝撃を受けた音楽作品が実はおおたかさんの歌だったということが今回いろいろ分かり驚いた。

 今回の旅の前にいただいた音資料のCDもすごかった。とくに「名刺代わりに」と同封してあった「I remember you」は、ため息のでるような名盤だった。

トロムソ・チームは、左から、Nasra Ali Omar (percussion)Bernt-Simen Lund (cello)Øystein Blix (trombone)の3名。

Nasra ナスラは、ソマリアからの難民の娘なんだそうだ。たぶん20歳ぐらいのとてもキュートな女の子でトロムソ大の学生。この日の朝、宿泊している Rica Ishavs hotel でビブラフォンの演奏をしてくれたんだが、ジャズっぽさとバラホンっぽさがうまく混在する素敵な演奏だった。ほかに、各種パーカスとドラムパッドを使用。

Bernt バントは、サイレントチェロとエフェクト。擦弦+エフェクトって面白いなぁ。とくに、アンサンブルの中でベースパターンのループを作る手法は、いずれ自分の馬にも導入してみたいと思った。

Øystein オイステンはトロンボーン。管楽器だしいくらでも大きな音はでるはずだけど、アンサンブルの中の駆け引きが非常にうまく、小さな音を効果的に絡めてくる。この音楽学校で先生をしているだけでなく、俳優としても活動をしているそうだ。

 

 おおたかさんの仕切でリハが進んだ。

 

 

佐伯さん、ナスラの楽器を借りて演奏。

(続く)

 

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