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What is the "THROAT-SINGING" ?

[English]

1. "Throat-Singing"とは?

 世界の民族音楽には、様々な演奏形態を持つものがありますが、中でもひときわ 異彩を放っているものが、アジア中央部(アルタイ山脈〜サヤン山脈近辺) に分布する throat -singing です。 これは、ドローン(通奏低音)の役割を持つ声を発しながら、その声に含まれる 倍音声分を口腔内の容積を変化させることで強調してメロディも奏でるという、 一人で伴奏とメロディを同時に奏でる驚異の演奏形態です。

●「声」●
 喉からの声は、もともとたくさんの種類の周波数の音が重ね合わされて 出来ています。ですから、普通に歌っているときでも、いわゆるホーミー 的な現象は常に起きているのです。たとえば、「あー」とか、「うー」 とか言いながら、よく耳を澄ますと、高い音階の音がかすかに聞こえるのに 気づくかも知れません。これを倍音といいます。声に限らず、あらゆる楽器の 音は基音とその倍音が色々な割合で配合されて出来ています。配合の割合に よってその楽器の音色が決まるということにも成ります。
 のどうたにおいては高周波成分をたくさん含むような声にした方が より強くきれいな共鳴音が出せるので、独特の「だみごえ」的なもの が用いられることが多いようです。共鳴させる周波数によっては、それほど 喉に力を入れなくても、口腔の中を適切な形と大きさに調整することで、 容易に共鳴音を出せることもあります。

●「共鳴音」●
 共鳴音は、声の1オクターブから、およそ4オクターブ上の音になります。 テクニック的には高い倍音を正確に出すのはとても難しく、また、喉を極度に 緊張させる必要が出てくるため、大体4オクターブ上の音が上限ということに なってしまうようです。
 これらの音は、声の高さに対して相対的に決まってしまいます。今、あなたが、 「ド」の音の声を出すとしましょう。すると、その音のn倍音は、鍵盤(平均律) でm個右に位置する音になります。(下表)

音階
1 0.0000 = 0ド(基音)
212.0000 = 12
319.0196 〜 19
424.0000 = 24
527.8631 〜 28
631.0196 〜 31
733.6883 〜 34シb
836.0000 = 36
938.0391 〜 38
1039.8631 〜 40
1141.5132 〜 42(ファ#)
1243.0196 〜 43
1344.4053 〜 45
1445.6883 〜 46(シb)
1546.8827 〜 47(シ)
1648.0000 = 48
 こうして得られる音階は、ほぼドレミソラの音階になっているため、アジアの 曲などを極めて自然に演奏することができます。
 これらの共鳴音は非常に純粋でな音なので、とてもよく通ります。また、 とても高い音なので音源を見つけるのが困難な程です。例えば、 ホーミーはモリン・ホール(モンゴルの擦弦楽器、馬頭琴)を弾きながら 演奏されることがありますが、共鳴音は非常によく通りモリン・ホールの音 にかき消されることはありません。むしろかき消されるのは基音となる声の ほうで、聞く人の耳にはモリン・ホールの音に、音源がどこにあるか分から ないきれいな笛のような音の合奏が加わって届くことになります。

 本会会員のthroat-singing を、聴いてみませんか


References;
  • Koukin Journal No.7
    thro@sings.jp