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『 アレンジ』

(1999年 9月15日 NNL Vol. 18)


 世界的に活躍を続けるトゥバの喉歌グループ「フーン・フール・トゥ」。彼らの音楽の特徴の一つに、伝統曲をアレンジする卓越したセンスがある。

 例えば「ユドゲン・タイガ」という曲(HHT二作目収録)。歌と伝統楽器の奏でる単純な旋律が、動物の鳴き声の模倣と絡みながら、タイガの風景を美しく描いていく。曲中ほのかに現代的な香りを漂わせるギターは、時々ベースやテンションをわずかな音数で添えているだけだ。伝統と現代感覚のこのバランス、絶妙である。

 これまで民族音楽の現代的アレンジと言うと、先進国の商業音楽の立場からの再構成が多かった。現在でもそういったアプローチは続いているし、市場にはニーズもあるだろう。

 しかしHHTが世界的に活躍している今、状況は変わりつつあるのかも知れない。時にそのままの形で、時に伝統音楽主導型のさりげないアレンジに乗せて、その音楽を伝えてきた地域の価値観をある程度共有しながら民族音楽を楽しむ聴衆が増えているように思える。

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のどうたの会 嵯峨治彦 nodo@ma4.seikyou.ne.jp